強がりウサギの不器用な恋
自分のデスクのパソコンの電源を落とし、荷物を纏める。
そっと入り口のドアを開けてエレベーター方向を覗き見たけれど、そこにはもう海藤さんの姿はなかった。
ホッと胸を撫で下ろしつつも、足早にこの場所から立ち去らないと、買い物に出ると言っていた海藤さんが戻ってきてしまう。
ドキドキと胸を押さえながら、慌てて事務所がある複合ビルを飛び出した。
今、駅の方向に行くのはまずいかな。
コンビニも同じ方向だから、もしかしたら海藤さんと鉢合わせるかもしれない。
焦っているわりには、そんな思考も頭を掠め。
駅までの道のりを、ぐるりと遠回りで歩いた。
とにかく、………とにかく、逃げたかったのだ。
逃げないと、大きな力で押しつぶされて、私は壊れてしまう。
何故かそんな思いにかられた。