強がりウサギの不器用な恋
それから1年くらい経ったころ。
大学4年のときに先輩は、宣言どおり事業をやりはじめた。
有言実行というか……
口だけじゃなく、本当に夢を実現させてしまうこの男のことを、さすがにこのとき凄いと思った。
そしてしばらくして ――――
「先輩! こんな古い領収書、今頃持ってこないでくださいよ!」
「あ、悪い、宮田。それ経費で頼むわ。」
……嫌だと言っておいたのに。
私は先輩の仕事を手伝うようになっていた。
仕事といっても領収書や伝票の整理をしているだけだけど。
そういうの、先輩は極めて苦手みたいだったから。