強がりウサギの不器用な恋

先輩は自分で気づいていないみたいだけど、不思議な魔法を使える人で。

いわゆる『輸入代行業』をやり始めたのだけど、数々いる先輩の知り合いの人たちに、いろいろと助けてもらえている。


本当に得な人だ。

こういうのを“人徳”というのだろう。


その証拠に交友関係も広く、会社の規模も徐々に大きくなっていった。



「俺の住んでるとこから近い、小さなマンションの一室借りて、そこを事務所にしようかと思うんだけど。」


先輩が大学を卒業するとき、いきなりそんな話を持ち出してきた。


「自宅兼事務所、っていうのもこれ以上は無理があってさ。」


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