強がりウサギの不器用な恋

午前中のパート従業員でいい。
働いてくれたら、随分事務作業がはかどるだろうと思ったのだけど。


「俺は、宮田がいい。」


仕事がやりやすいからな、なんて言って、まるで人の話を聞こうとしていない先輩は、実は鬼なんじゃないだろうか。


「私、そろそろ就活が忙しいんですよ。
ここにも来れなくなるかもしれないですからね。」


秘書検定の試験も受けなきゃだし、就職セミナーだの何だの、こっちだって忙しいんですけど?


「何だよ、てっきりうちに就職してくれるのかと思ったのに。」


は? 何を言ってるんですか?!

サラリとそんなことを言ってのける男を前に、驚いて目を丸くする。


「そんな話、今初めて聞きましたけど?!」


うん、今初めて言ったけど? なんて言い返されて、本気で殴ってやろうかと思った。

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