メランコリック
「バカげてないよ。好きな人ができたらそういうことだってある。藤枝には最初はちょっと窮屈な想いをさせるかもしれないけど、そのうちおまえを優先してやれるようにするから」


なに、それ。
愛人としてやっていこうってこと?


家族の話をされても、何の躊躇いもない杉野さんの口調。

私はようやくわかった。
この人には良心なんかない。浮気することに罪悪感なんかないのだ。
そして、そんな男に恋していたのは私。


なんて、バカだろう。どれほど男を見る目がないのだろう。


高校の時、たった一回だけの逢瀬を思い出す。私の初体験。

そういえば、あの化学の教師だってそうだった。
私の気持ちを見抜いて、身体の関係を迫ってきた。幼かった私は、それが愛だと思って受け入れたけれど、実際はそうではなかったのだ。

あの教師だって、すぐにいなくなったじゃないか。私以外の女子生徒を妊娠させて、免職になったじゃないか。


私は昔から男を見る目がない。
もっと早く思い出せばよかった。
< 100 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop