メランコリック
「仕事、遅番じゃなかったっけ?」


私は隣に座る相良に問う。今の時刻は21時、ちょうど遅番の退勤時刻だ。


「サボってねーぞ。20時半の閉店まではいた。最後の締め作業だけ、兵頭さんにお願いして、胃腸炎で吐いて下してヤベーっつって上がった」


「なんで、いる場所がわかったの?」


相良がこっちを見る。呆れた声で言う。


「あの店、杉野が女と今夜キメんぞっていう時、使う店なんだよ」


「え?」


私が問い返すと、相良はいつもの憎まれ口で答える。


「おまえが純粋に恋してた杉野は、有名なクソヤローだぜ。俺も最初はただの噂だと思ってたけど、同期や仲のいい先輩にリサーチしたら出てくるわ、出てくるわ。バイトも社員も関係なしで、気に入ると食っちゃうらしい。で、毎回あの店使うんだとさ」


私は呆然としながらも、納得した。だって、私にカッターをちらつかせたあの男なら、やりかねないことだった。
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