メランコリック
「そうとってくれていいよ」


「は~、嘘だよねぇ。あんた、汐里のこと嫌っていじめてたじゃん」


緑川は頭が痛いとでも言うように、額に手のひらを当てる。


「藤枝にイジメ相談されてた身としては反対かよ」


「汐里は何にも言わないわよ。私には」


緑川の言うことが意外だったけれど、それを顔に出すのも妙なので無表情を貼り付ける。


「汐里はあんたのことは何も言わない。でも、あんたがいじわるして飲み会教えなかったり、仲のいい同期に汐里の悪口言うの見てれば、私だってわかるわよ。
でも、あの子ああでしょ?誰にも期待しない代わりにほっといてって感じ?だから、私も無理矢理聞きだしはしなかったの。そりゃ、見かねてこの前は文句言ったけどさ」


藤枝は、俺の非道な迫害を誰にも話していない。それは、俺をかばってのことじゃない。俺の存在がいじめを含めても、あいつの心に作用しなかったってことだ。

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