メランコリック
「汐里のこと好き?」


「好きかはわかんないけど、放っておきたくない」


「しつこくすると嫌われるよ。あの子、そういうの苦手だし」


「いい。たぶん『嫌い』スタートだから」


緑川はビールをごくごくっと飲み干した。ペースが速い。藤枝が来るまでに何杯飲む気だ。


「そっか、まぁ、あんたみたいなのイイかもしれない。あの子、たぶん生きてるのつまんないって思ってる。暇つぶしみたいなもんだと思ってる。あんたみたいなうるさくってガキっぽい男と一緒にいたら、少し価値観変わるかな」


「おまえは友達として、あいつの無気力な感じ、どうにかしようとは思わねーの?」


「あのね、女子同士ってのはもう少し複雑なの。土足で踏み込んでも怒られないのは、たったひとりの王子サマだけ」


緑川は当然とばかりに言った。
女子って難しいのな。でも、俺があいつの『王子サマ』になれるかと言ったら、甚だ疑問だ。
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