メランコリック
ドアの向こうに音を聞きつけた相良が来ていた。私は浴室の床に座り込み、シャワーを止めようと手を伸ばす。
しかし、震えた手がなかなか言うことを利かない。


「悪いけど、入るぞ」


返事がないせいで、相良が浴室のドアを開けた。
シャワーを止め、座り込む裸の私をバスタオルでくるむ。
震えていることに気付いたのだろう。相良の腕が私をきつく抱き締めた。


「もう、いいから出よう」


「うん」


私は相良に身体を預けるように居室に戻った。
相良の出してくれたスウェット。着替えようとするけれど、手が震える私を、相良が尚も引き寄せた。


「ゆっくりでいいよ。部屋、あったかくしてるから」


私は相良に抱き締められるまま、腕の中に顔を埋めた。

相良の温度。

相良の匂い。

バスタオル越しに私の背を撫でていた相良が、私の顎を捉えた。上向かせられ、キスされる。
触れて、すぐに唇は離れた。

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