メランコリック
「あいつら魚食うのか」


「そうだよ。ほら、あっちにはアオサギ」


私は対岸の池の縁を指す。アオサギが悠々と長い脚で水際を闊歩している。


「え、あれでかくねぇ?」


「サギの仲間では一番大きいもん」


「鳥博士か、おまえは」


駿吾がからかって言うから、私は口を尖らせて反論した。


「この前来たとき、気になってスマホで調べただけだよ」


「はぁ?この前って……ひとりでも来てんのかよ。おまえ病み上がりなんだぞ。自覚あるのか?」


逆に怒られてしまった。病後の体力づくりで来たんだけど、彼は納得してくれなさそうだ。
私は渋々唇をつぐみ、散策をしながら駿吾のお説教を受けた。

ぐるっと池の周りを回ると、入り口付近の御茶屋で休憩した。登山コースもあるので、御茶屋は結構賑わっている。
おにぎりとお味噌汁のお昼ごはんセットを二人で食べた。
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