メランコリック
私たちは散策を終え、再び私の最寄り駅を目指すことにした。時刻は15時。今日、駿吾は何時までいてくれるだろう。
冬の日は短い。オレンジに近付いた陽射しがこぼれるように車窓を埋めた。
空いた電車の座席に並んで腰掛ける。
駿吾が口を開いた。


「あのさぁ、俺んちの近所に小児科があんだよ。そこに『看護師募集!』ってでっかく張り紙がしてあった」


「へぇ、そうなんだ」


「開業医だからさ、午前と午後に勤務が分かれてて、シフト制でパート勤務できる人を募集してんだってさ。おまえもそういう職場がいいんじゃない?」


駿吾の口調は何気ないものだ。私はなるほどと頷く。


「開業医の小児科なら夜勤はないもんね。でも、私、本当にもう元気だよ?」


駿吾は病気をした私が心配で仕方ないのだ。だから、私の体調に優しい職場を斡旋したいのかもしれない。
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