メランコリック
「ちゃんと薬飲んでいれば、前と同じように働けるし、今の職場は大変だけど、みんな気にしてくれているし。そんなに心配しなくても平気……」


「あー、わかってねぇし」


駿吾が額に手をあてて、言葉を遮った。落胆を示したいようで、わざと後頭部をごちんと窓にぶつけて見せる。茶色の髪が日に透けて薄いオレンジ色だ。


「俺んちの近所って言っただろ?俺の言ってる意味、もうちょっと深いんですけど」


怒ったような口調で言って、駿吾が私の顔を見つめた。


「一緒に住まないかって言ってんだよ」


私は思わぬ言葉に驚いて閉口した。
一緒に住む。それは同棲ってことだろうか。


「だいたい、看護学校出てさ。おまえ、俺に相談もなしに地元就職しただろ。じいちゃんとばあちゃんと暮らしたいっつうのもわかるから、俺も何にも言わなかったけどさ。俺としては、ちょっと期待してたんだよ。俺んちで同居とかできんのかなーって」


駿吾は照れ隠しなのか、余計怒ったように言う。
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