メランコリック
彼の言うとおり、私は迷いもなく地元就職を選んだけれど、それなら彼は二年も前から私と住むことを考えてくれていたわけだ。そして何も言わず待っていてくれたのだ。


「ごめんなさい。気がつかなくて」


「いーよ。汐里が恋愛スキルはもちろん、対人スキルがバカ低いのはよーくわかってる」


対人スキル……確かに高くない。
駿吾が重ねて言う。


「パートでもいいじゃん。俺の嫁さんになれば、二人で暮らしていけるだろ?」


「え?嫁さん?」


同棲の誘いだと思っていた私は、さらに驚いて聞き返した。
駿吾が心外とばかりに眉間に皺をよせた。


「さっきからプロポーズしてるんですけど、俺」


駿吾の左手が私の右手をぎゅっと握る。
その力強さには、確かにある種の決意が感じられた。

私は困惑し、どうしようもなく照れて、うつむいた。

温かな彼の手をしっかりと握り返し、精一杯答える。


「す……すぐには決めらんない」
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