メランコリック
「代わりにキスして」
私の積極的なアプローチに、今度は駿吾が頬を赤くした。
それから、きょろきょろと周囲を見渡す。心配しなくても、たいして人がいる駅じゃないよ。
顔をぐっと近付け、真面目な顔で駿吾がささやいた。
「あらためて、俺と家族になってください」
私がはいと答える前に、駿吾の唇が私の唇に重なった。
ああ、私は彼と家族を作るんだ。
新しい家族を持てる日が来るなんて想像していなかった。
駿吾と付き合ってなお、長く私は家庭を作るイメージが持てずにいた。
でも、今は違う。
駿吾の決意に応えたい。
見え始めた未来に胸が熱くなる。
ずっと、ひとりきりなのだと思っていた幼い私。
暗い淵で膝を抱えていた少女に言ってあげたい。
大丈夫、あなたを連れ出してくれる人が現れる。
その手を信じて。
あなたはひとりぼっちじゃない。
私は駿吾の背に手を回し、彼の温度に寄り添うように身体を預けた。
凍てついた暮れの風が一陣、私たちの背を吹き抜けていった。
<了>
私の積極的なアプローチに、今度は駿吾が頬を赤くした。
それから、きょろきょろと周囲を見渡す。心配しなくても、たいして人がいる駅じゃないよ。
顔をぐっと近付け、真面目な顔で駿吾がささやいた。
「あらためて、俺と家族になってください」
私がはいと答える前に、駿吾の唇が私の唇に重なった。
ああ、私は彼と家族を作るんだ。
新しい家族を持てる日が来るなんて想像していなかった。
駿吾と付き合ってなお、長く私は家庭を作るイメージが持てずにいた。
でも、今は違う。
駿吾の決意に応えたい。
見え始めた未来に胸が熱くなる。
ずっと、ひとりきりなのだと思っていた幼い私。
暗い淵で膝を抱えていた少女に言ってあげたい。
大丈夫、あなたを連れ出してくれる人が現れる。
その手を信じて。
あなたはひとりぼっちじゃない。
私は駿吾の背に手を回し、彼の温度に寄り添うように身体を預けた。
凍てついた暮れの風が一陣、私たちの背を吹き抜けていった。
<了>


