「お前は俺のモノ」【完結】
目的のバス停を降りて、急いでスタジオに向かう。
そこには既にメンバーが勢ぞろいしていた。
「お、多恵、おつー」
「多恵ちゃん、待ってたよー」
最初に私に気付いたのは葵兄。
次に声をかけてくれたのが、章吾さん。担当はギター。
「ター坊来たか」
こうやって、私を茶化すのがドラム担当の雅人さん。
「ター坊ってやめてくださいよ」
「あはは、ター坊って感じじゃん。
可愛い可愛いター坊」
「どうせ、女子力ないですからー」
可笑しそうに雅人さんは私の頭をガシガシとする。
それに顔を顰める私。
「本当に、マー坊は」
「お、いいね、ター坊でマー坊」
そうやって、雅人さんは章吾さんと笑い合ってる。
ずっとこんな調子。
不機嫌に見せてるけど、面白くて、私はこのメンバーが大好きだ。
「多恵、ジュース飲む?」
「あ、うん」
葵兄は目を細めながら、微笑むと私に缶ジュースを差し出す。
私の好きなカルピス。