「お前は俺のモノ」【完結】
「後、ここがね」
そう言いながら譜面を見ながら、次のライブで歌う曲の話を始めた。
それに真剣に耳を傾ける私。
「そっか、わかった」
「じゃあ、練習しよ」
「あいよー」
葵兄が合図すると、すぐに皆位置について準備をする。
ドラムの雅人さんが思い切り鳴らすと、次に章吾さんと葵兄が続く。
葵兄はリーダー兼、ベース。
キーボードもやったりする。
作曲も、作詞も葵兄だ。
私以外、皆社会人。
忙しい中、集まるってだけでも大変なのに、葵兄はいつ作曲してるんだろうと思う程。
一曲歌い終わってから、反省点を相談しながらまた練習する。
その繰り返し。
だけど、それは私にとって楽しい時間でもあるから、あっという間だ。
気付けばスタジオを出なきゃならない時間になっていた。
「皆お疲れー」
「何とか、形にできたな。また何かあればメール頂戴」
「了解。雅人、章吾、来週頑張ろうな」
「おう」
「んじゃ、多恵ちゃんもお疲れさん」
「はい、お疲れ様でしたっ」