間違ってても、愛してる
甘えたいだけ。

優しくされたいだけ。

彼の家に行ったからと言って、それ以上の間違いが起こるとは限らない。



そんな言い訳をしてまで温もりに触れていたいと思う私は、悪い女なのかもしれない。

でも、それならそれでいい。

それを認めて、今夜、そばにいてもらえるなら.......



「一緒にいてくれる?」

「もちろん。楓さんが寂しくなくなるまで、そばにいます。」



どうして藤井君は、そんなに優しくしてくれるんだろう。

興味本位? 同情?

わからないけど、何だっていい。

今は彼の優しさに溺れていたい。



そう伝えたくて、私も彼を抱きしめた。

すると、彼はすぐ、私を包み込むように抱きしめ直してくれた。



だから、その瞬間、広がる安堵感が麻薬に変わった。

これから起こることは、彼と私だけの秘密。

つまりは、何があっても構わないという覚悟に。
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