間違ってても、愛してる
彼の家まで十分弱。

駅を出た後ずっと、藤井君は普段と変わらぬ様子で明るく笑っていた。



ただ一つ、いつもと違っていたのは、彼が私と手を繋いでいたこと。

まるで「離さない」って言っているみたいに、しっかりと。

私はそれが嬉しかったし、彼から伝わる温もりは、僅かに残る迷いを徐々に消して行ったように思う。



辿り着いた彼のアパートは、予想よりもキレイに片付いていた。

小さなテーブルにグラスを並べる彼は、とても嬉しそう。

相手が人妻だなんて、全く思ってないみたいに見える。



「じゃあ、改めて、お誕生日おめでとう。」

「ありがとう。」



途中のコンビニで買ったシャンパンのシュワシュワする泡が、楽しい気分を盛り上げる。
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