間違ってても、愛してる
「どうしたんですか? クリーム取っただけですよ。」

「へ?」

「楓さん、カワイイ。抱きしめてもいいですか?」



返事なんてしてないのに、彼は軽く微笑み、私を抱きしめた。

驚く気持ちと裏腹に、一瞬で指先まで甘い痺れが広がって行く。

戸惑う私に彼の言葉が追い打ちをかける。



「俺、楓さんのこと、好きです。ずっと見てました。」



こうなる可能性がゼロだったとは思わない。

私だって彼の温もりが欲しい。

だけど、今、彼の気持ちを受け入れてしまったら......



「好きになっちゃいけないって、わかってます。でも......俺じゃダメですか? 俺は楓さんを悲しませたりしないから。」



息苦しいほどの沈黙。

私の中で、彼にすがりたい気持ちと罪悪感が戦っている。

でも、夫に絶望しか感じない妻がこの誘惑に勝てるはずがない。

迷いつつも、結局、私は目の前にある禁断の実に手を伸ばす......
< 8 / 13 >

この作品をシェア

pagetop