ほろ苦いキミのkiss【壁ドン企画】
もう、櫻木さんのオフィスは目の前だ。
ドアを開けようにも、開けられない。
「……っ」
私がドアに手をかける前に、先に開いた。
「いつまでそこに立ってるの?入りなよ。いつも入ってるでしょ?」
本当になにも思っていないのだろうか。
ついさっきあんなことがあったというのに。
ずっと立っているわけにも行かず、中に入る。
私からコーヒーを受け取り一口コーヒーを口に入れた櫻木さんは、座ってと私に合図した。
私は部屋の真ん中に置かれた、ふかふかなソファーに腰を下ろす。
いつもなら落ち着くこのソファーも、今日ばかりは落ち着かない。
それなのに櫻木さんはいつも目の前に座るが、今日は隣に座った。
今日はなんだかおかしい。
それは、私も櫻木さんも。
「それで資料なんだけど…」
少し距離を詰めて説明を始める櫻木さん。
もちろん内容なんか頭に入らない。
「櫻木さん……」
「ん?どうした?」