ほろ苦いキミのkiss【壁ドン企画】
「そういえば菊池さん、また資料にミスがあったんだって?昨日は見てあげられなかったからな…ごめん」
何もなかったかのように離れた菊池さんはどこからかタオルを持ってきて、こぼれてしまった床のコーヒーを拭いた。
「はい、これ。処理はお願いね?コーヒーも全部こぼれちゃったからもう一回淹れてきてよ。次はその資料も持って僕のオフィスに来てくれる?」
そう言い残して、櫻木さんはオフィスに戻っていった。
残されたのは、おぼんとコーヒーカップ。
それに、コーヒーが染みついた、床を拭いたタオル。
しばらく私は、そこから動けずにいた。
櫻木さんはなぜあんなことをしたのか。
櫻木さんのアレが触れたところはまだ熱を帯びている。
心臓は暴れっぱなしだ。
どうしたらいいのだろうか。
櫻木さんにはもう一度コーヒーを淹れてくるように頼まれた。
資料のミスだって私が悪いのに櫻木さんが謝って、その資料も持ってくるように言われた。
きっとチェックをして、いつものようにアドバイスをくれるんだろう。
どちらにしても、また櫻木さんには会わなければいけないのだ。
一体、私はどんな顔をして櫻木さんに会えばいいのだろうか。