極妻






「………なにしてんだテメ?」


「待ってたの!」


ここは学校の旧校舎にある元・美術室。なんか知らんが、旦那さんが部屋として使ってる場所だ。


朔夜は授業には出ないけど、日中はここに昼寝にやってくる。それにここなら誰にも邪魔されないで、話ができると思って待っとった。



私がソファから立ち上がると、朔夜はくわえてたタバコの灰を、床に払った。


「灰皿に捨てぇや!」


「ウゼえな。お前なんだよ」


「あんたの嫁や」


「ハァ?」


ホンマは……妹やけど。
でもこれは黙っとこ。なんか……簡単には口にできひん。


……てか似てへんなぁ、うちと朔夜。


うちこんな美形とちゃうし。尊兄ちゃんから聞いた話やなかったら、絶っっ対信用せんかったわ。


そんなこと考えてると、朔夜はハアッと小さくため息して戸を閉めた。


「…ンの用だよ?」


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