先輩、次こそ『壁ドン』やります! 【壁ドン企画】
「…………ちな先輩は、それが自分だったらとか、そういう可能性はすこしも考えてくれないんですね」

失恋濃厚な雰囲気感じ取ってつい恨みがましく言っていた。先輩は立ち止まってしまった俺に振り向いて手の掛かるちいさな子供を見るような、ちょっと困ったような顔して笑った。

「こらこら。はっきり言っちゃだめでしょ。折角今まで聞こえないフリしててあげてたのに」

そういって先輩はしっかりした足取りで自販機の方へ歩いていく。

「それって、ずっと俺のこと『ない』って思ってたってことっすか………?」
「じゃなくて。恋愛とか、ご無沙汰すぎてよくわからなくて。なんかね、もうこの残念キャラに収まってるのが気持ちいいんだよ」

「ちな先輩は残念な人なんかじゃありません」
「あはは。どーも。……でも怖ぇじゃん?9コも下って」

先輩は自分の方が痛いみたいな顔して苦笑した。

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