君とみた蒼空
「詩音、大丈夫だからな…………」
いつも芯の強いお兄ちゃんが、急に弱気な口調になった。
「………ねぇ、お兄ちゃん…………」
「ん?」
「私………本当のこと教えてほしい」
たぶん、“本当のこと”は、これから私を待ち受けている大きな試練なんだと思う。
でも、聞かずにはいられなかった。
「詩音…………」
その瞳は、本当に言っていいのか?と私に言っているようだった。
「………あとで、母さんたちがきたら話すよ。詩音も一緒に」
お兄ちゃんは、そう言うと病室を出ていった。