「私は貴方のモノ」【完結】
「よ、陽子。ごめん、ちょっと抜ける。私」
「多恵!?何で!?」
陽子は驚きながら、タエを問い質すけどタエは急いでノートやらをカバンに仕舞い込んでいる。
「いや、少し調子もよくないから。ごめん」
カバンを手にしたタエは陽子の横をすり抜けると、俺の前に立つ。
だけど、顔は俯かせたまま。
ぎゅうっとカバンを両手で抱き締めるタエの姿にも、腹が立った。
何も言わずに俺は踵を返すと、スタスタと歩いて行く。
そのすぐ後ろからパタパタとタエの足音が聞こえた。
イライラが止まらない。
早歩きで進む俺に、小走りで付いて来るタエがわからない。
離れたい。そう、思ったから勝手に出てったんじゃないのか。
段々と周りに人気がなくなって来たから、俺はぴたりと立ち止まる。
それから、タエの方を振り向くと腕を掴んだ。
そのまま強引に壁へと押し当てる。
ドンっと音がして、タエはその痛みに顔を歪めた。
更に、腕を掴む手に力を込める。