「私は貴方のモノ」【完結】
「荷物、取って来い」
それに、タエはまた目をぱちぱちとさせる。
「……いいんですか?」
「ああ」
俺が即答してやると、タエは嬉しそうに微笑んだ。
はあ、なんて単純なヤツ。
これが最後のお別れになるかもしれないってのに。
喜ぶとこ、間違えてねえか?
理解出来ねえな、俺には。
インターホンを押して、出て来た母親に声をかける。
タエはその母親と言葉を交わす事はなかった。
悲しそうにタエの背中を見つめる母親。
それから、俺に視線を移す。
「……すみません。なんか…」
「……」
「あの、ここは引き払う予定ですので…」
「あ、そう」
「……もう、もしかしたらこれが最後かも知れません」
「……」
「タエを…タエをよろしくお願いします」
「……」
「親として、最低な事をしたのは…」
「あのさぁ、ちょっと黙ってくれる?」
「っ…」