真夜中のパレード

 ☆



庭園の桜は満開だった。
風が吹くたび小さな花びらがはらはらと宙を舞う。


「綺麗ですねー」

「そうだな。平和だ」


池の上にいくつも桜が浮かんでいるのが美しくて、
時間を忘れて見とれてしまう。


「そういえば」


隣に座っていた上条の声が聞こえ、
透子は池から彼に視線を戻す。



「近々また、うちの母親に会ってくれるか?
前行った時に作ってくれた透子の料理、
いたく気に入ったみたいでな」

「本当? 嬉しいな」


上条はいたたまれないように頭を抱えた。


「……というのは建前で、早く結婚するって
明言が聞きたいんだと思うが」


「あ、そ、そうなんですか?」


会社の中でも付き合っていることがバレたので、
色んな人に散々せっつかれていて、
今さらという気もする。


近いうちにそんな話になるだろうなという
予感はあったけれど、
いざ言葉にされるとむず痒い気持ちになる。
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