忘れられない [壁ドン企画]
しあわせに
式は滞ることなく無事に進んだ。

慎司はしあわせそうな結衣を切ない表情で眺めていた。これでいいのだ。

宗一郎は式の途中で周りには聞こえないようにこっそりと結衣の耳元で「そのドレスとてもよく似合っているよ」と囁いた。結衣は宗一郎と共に微笑みあった。

結衣は宗一郎としあわせになるのだ。

慎司の事を忘れることはできない。密やかに想い出しては苦しむ事もきっとあるだろう。それでもきっと宗一郎とふたりで過ごす現実が優しく結衣を包み込んでくれるだろう。

宗一郎が慎司への想いごと結衣を望んでくれたように、結衣も宗一郎と一緒に生きていきたいと心から望んだのだから。

ふたりでこれからたくさんのしあわせを作っていくのだ。結衣は宗一郎を眺めて微笑んだ。

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