リライト
「あの頃の君なら簡単に解ける、さっきみたいに」
「やめて、高崎さん……」
『あの頃』って、何?
言いかけて唇を噛んだ。
体を捩らせる私の首筋に高崎さんが顔を埋める。押さえつける力強さとは正反対に、優しく丁寧に唇を這わせながら。耳朶を何度も啄まれて力が抜けていく。
「俺が思い出させてみせようか?」
吐息とともに漏れた声が耳元に触れて、体がぴくりと跳ねた。
「一樹……」
声に出した途端に唇を塞がれて、高崎さんが口の中で暴れ出す。
息もできないほど苦しくて。
ようやく解放された時には立つ力さえ奪われて、高崎さんの腕の中で震えていた。
「アイツのこと、本当に好きなのか?」
高崎さんの声が震えている。
そっと顔を上げると、照明の光を受けた瞳が僅かに揺れているように見えた。
「俺のことを思い出してくれないか」
高崎さんが私を抱き締める。
とても悲しい目をして。
ー 完 ー
