リライト
「高崎、今日は姿が見えないから休みだと思ってたよ」
「こんな日に休むわけないだろ、瀬戸が来てくれるってわかってんのに」
二人とも顔を綻ばせて笑い合う。
実はオーナーの高崎さんは一樹の同郷出身で高校の同級生。私たちが最初に店を訪れた時が高校卒業以来の再会だったそうだ。
もう十年近く会っていないのに、何の違和感もなく笑い合う二人は高校生に戻ったみたい。
私は高校生の頃の思い出も失くしてしまったから羨ましい。
「早く食べて、もうすぐ抹茶味が焼き上がるから持ってくるよ、もちろんサービスだから」
「やった、ちょうど抹茶も食べたかったんだよな」
一樹がさらに目を輝かせる。
私の顔を覗き込んで、本当に嬉しそう。
「ありがとうございます、いつもすみません」
「いいよ、気にしないで。他に食べたいものがあったら何でも言って」
一樹に代わってお礼を言ったら、高崎さんは笑顔で返してくれた。