リライト
「今日も式場見てきたの? 決まりそう?」
高崎さんが問いかけると、一樹はフォークを持った手を止めた。きゅっと口を結んで得意げな顔。
「ああ、今日のホテルは良かったよ、なあ、多恵?」
「うん、もっと他にも見に行きたいな」
「そうだな、いろんな所を見に行って、多恵の一番気に入った所に決めようよ」
一樹らしい返事だ。私を受け止めてくれる言葉に安心感を覚える。
だけど、任せきりにしないでほしい。
大事なことだから、一緒に考えてくれないと。
「そんな……、一樹も考えてよ……」
少しだけムッとした風を装ってみたら、高崎さんがくすりと笑う。
「多恵さん、思いきり我儘言いなよ。今なら何でも聞いてくれるから」
一樹を横目で見ながら悪戯な笑顔。
だけど高崎さんの目が、ほんの少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。
「高崎も早く彼女見つけろよ、仕事が楽しいのはわかるけど」
一樹が笑い飛ばすと、高崎さんもつられて笑った。