俺様魔王の甘い口づけ
「まずは、食事にしよう」
レオがそう言うと台所に行きゴソゴソと棚の中を探っている。
料理をするということだろうか。
だったら、それくらいなら私にもできる。
この世界の料理とは少し違うかもしれないけど。
あの城で食べた料理は、私のよく知らない料理ばかりだった。
でも、食材は知ったものばかり。
「ねえ、料理なら私がするけど…」
「え?いいのか?そうしてくれるならすごく助かるけど…」
「そんな特異なわけじゃないけど…。簡単なものなら」
「ありがとう!男の料理って本当に適当で、なかなかウィンリーにはいいものを食べさせてやれなくって」
ははっ、とレオが笑う。
こんな小さな子がいたら、食事に気にかけたいと思うのは当然だろう。
「…ねえ、どうして二人なの?ご両親は?」
私がそう尋ねると、レオはとても苦しそうな表情を見せる。
聞かれたくないことだったのかな。
それもそうだよね、いないってことはやっぱ何か理由があるわけで…。
「ごめん。あの、台所借りるね」
私はそう言って話を切り上げると料理を始めた。