四百年の恋
 「でもどんなに先生が愛したとしても……。また御曹司も生まれ変わってくるだろうから、同じことの繰り返しじゃないのかな」


 友人は分析した。


 (先生はまたしても……、実らぬ恋を見送る運命)


 「私こそが月光姫の生まれ変わり! って名乗り出てみようかな」


 吉野ファンがつぶやいたが、


 「無理無理、あんたはお姫様ってキャラじゃない」


 「ひどーい」


 友人たちが盛り上がっている姿を見て、美月姫は笑っていた。


 「でも吉野先生って、初芝先生となんかあやしくない?」


 別の友人の指摘で、一同は静まり返った。


 「確かに。よく二人で話しているところ目にするな」


 「仲いいよね」


 圭介同様、卒業後は教師の道を歩んだ初芝静香。


 去年までは聖ハリストス学園に勤務していたが、合併に伴い圭介の同僚に。


 「初芝先生、オールドミスのくせに吉野先生に近づかないでほしい! 美人だけど」


 吉野ファンは気が気じゃないようだ。


 「でもあの二人、大学の同期でしょ? 友人関係もあるし、仕方ないんじゃないかな」


 「美月姫はいつも冷静だね」


 友人が感心する。
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