あなたの優しさが…

ゆかりさんと会ってから5日後。


朝、いつものように二人で朝ごはんをたべていたら

雅樹の携帯が鳴った。


こんな時間から携帯が鳴るなんて珍しい。


ディスプレィには

【お袋】



「雅樹…お母さんから」


雅樹の眉間にシワが寄る…



電話に出る雅樹は言葉が少ない。


電話中に大東さんが入ってきた。


私は大東さんに近寄り

お母様からですっと伝えると驚いていた。


電話を終えると、雅樹が私に言う。

『美咲、本家に行く。準備しろ』


本家というのは、雅樹の実家。



大東さんも驚きを隠せず、雅樹に説明を求めるよう、詰め寄る。


雅樹が電話の内容を大東さんに伝えた

『若、先程のご無礼をお許しください… ただ、姐さんが美咲様に接触したとは考えられなくて…』



雅樹の話だと
お母さんが私に会いたいと言う。

今日、連れてきてというと一方的に電話を切られたと。



いよいよか。

雅樹といるための試練だ。


何が何でも、認めてもらおう。



やっぱり手土産は必要だと思う。


そんな事を考えてるのは私だけ。

雅樹と大東さんは、神妙な顔で話し合いをしている。



話し合いしても、どうしようもないのに。


手土産は何にしようかな。


あ…そういえば前にゆかりさんが
3丁目の和菓子屋さんの最中が美味しいって言ってたなぁ。

それにしよう。



それと…服。

どれにしようか悩んでいたら

1着の服に目が止まった。


この服…試着した中で、雅樹の目の輝きが違った。


うん、これにしよう。



私は何故かウキウキしていた。
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