勝手に古今和歌集
その間に、わたしの身体に変化が起きた。





下半身を覆っていた鱗が、銀色に煌きながら、はらはらと海の底へ舞い落ちていく。





鱗がなくなって現れたのは、肌色の両脚。






わたしは彼に抱きつき、言う。






「人間に恋した人魚はね、好きな人とのキスで、本物の人間になれるのよ!」






新しい両脚を彼の脚に絡ませると、彼は驚いたようにわたしの脚を見つめた。







「………本当だ。驚いたなぁ。


人間になってる………」






「うふふ、すごいでしょ?


ねぇ、陸に連れてってくれる?」






わたしは彼の顔を覗き込んだ。





きれいな瞳に月明かりが射して、きらきらと濡れたように輝いていた。






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