睡恋─彩國演武─


藍の身体が大きく揺らぎ、そのまま力尽きたのかぐったりと気を失ってしまった。

水は藍の胸からするりと抜けると、そのまま異形の口へと吸い込まれる。


『奴の霊力が膨れ上がった……朱雀の力をあらかた吸いとったな……。千霧、早くしないと朱雀が危ないぞ』


「く……っ」


藍を助けなければ。

だがどうすれば良いのか。

千霧の使える水気の攻撃は吸収されてしまううえ、藍は戦える状態ではない。

ますます霧が濃くなり、目が霞み始めたころ、威力の増した異形の攻撃が激しくなる。

月読の力で結界を張っていたが、もはや限界だった。

度重なる攻撃により、だんだん結界にヒビが入ってきている。


「あぁ……っ」


破れる──と、強く目を閉じた瞬間、身体がふっと軽くなる。


「大丈夫ですか?」


優しい声にゆっくり目を開けると、呉羽に支えられていることがわかった。


「どうして此処に……藍、藍は?」


「藍なら由良が……」


千霧は視線を動かすと、反対方向で手を振っている由良を確認した。


「呉羽様ー!成功ですー!」

呉羽は頷くと、千霧を地面に降ろした。

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