睡恋─彩國演武─
「あぁ……君……由良……?」
「はい。ずっと王子の事を探してたんですよ」
「そっか……」
藍は多少痛むのか、頭を押さえながら身体を起こした。
後から千霧と呉羽も集まり、藍は不思議そうに首を傾げる。
「呉羽……アンタも傷、治ったんだ……」
「ええ、由良のおかげで」
「ふぅん……」
気だるそうに返事をすると、千霧の顔を覗く。
目が合うと、それまで見せたこともない愛らしい笑顔を向けた。
「無事で良かった」
皮肉しか言わない口からこぼれた意外な言葉に、その場にいた全員が仰天し、硬直した。
「ち……千霧様、藍と何かあったのですか?」
「い、いや、別に……」
「──聞こえてるよ」
藍があからさまに不機嫌な声で呟いた。
「あ、ご、ごめんなさい」
「別にいいけど」
千霧が謝罪すると、藍は満足したように微笑した。
それから由良を見て、彼の腕をとった。
「……僕に気を分けたから、君のが減ってるんだね」
藍はそのまま手を引くと、驚いている由良のことなどお構い無しに、光泉の淵へと向かった。
由良の手をそのままに、藍は泉の中へと身を沈めていく。
振り払うことも出来ず、由良もつられて泉に身を浸した。