睡恋─彩國演武─
「あ、あの──」
戸惑う由良の問いかけには答える気が無いのか、藍は黙ったままだ。
伝えたいことがあっても、相手にされなければ、聞いてもらえない。
もどかしく、由良は言葉を喉の奥へと飲み込んだ。
「藍……」
自分勝手な藍の態度を咎めようとした呉羽を、千霧が引き止めた。
「待って。──由良と、藍の問題だから。……由良だって、きっとわかってるよ。藍の説得は一筋縄じゃいかないって」
……その通りだった。
由良は、知っていたから、あえて気紛れな藍の言葉を待つことにしたのだ。
「──待ってるだけじゃ、変わらないよ」
消えてしまいそうな声が、静寂の中で呟いた。
「えっ──」
由良が顔を上げた時、藍の隣にアイが立っていた。
そして、由良の隣には空良が。
「空良!──どうして」
「光泉の五行で具現化したんだ。これでもずっと一緒に居たんだよ?廓の天祢って子に体借りたりして」
「あっ!あれやっぱり空良だったのか……」
二人が話しているのを見ると、アイは藍の肩に手を置いて囁いた。
「ねぇ、藍。アタシ、やっぱり白樹に戻って、父上に会った方が良いと思う」