睡恋─彩國演武─

純粋な問いかけに、珀は息を飲んだ。

どうもこの紅い瞳は人を狂わせるようだ。


「……お前は、男、だよな?」


好奇心に、何か別の期待が混じっていた。

千珠は眉をぴくりと動かし、呆気にとられたような表情をしている。


「珀様、随分とおかしな質問をなさいますね」


「あぁ、オレも何でこんなこと訊いたんだろうな」


珀は自嘲した。

それでも質問を撤回しないということは、つまり、答えろということなのだろう。


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