俺様上司は、極上の男!?
ぎゃー!
今、一番顔を合わせたくない男、登場!

私は慌てて立ち上がり、彼に向き直る。
ぴしっと背筋も伸ばす。


「掃除を……河野さんに頼まれまして……」


河野さんっていうのは、メグ子さんの名字だ。
私、嘘言ってない。
これからやるところだったんだよう、掃除は。

私の回答は櫟課長には意味のないものだったようだ。


「ゆうべは楽しかったな」


櫟課長がうっすら微笑み、一歩近付く。
私は反射的に二歩下がった。


「あれ?おまえは楽しくなかった?」


櫟課長がこんな風に笑うんだと、私は昨夜初めて知った。
蠱惑的で、色気たっぷりな彼の微笑。


「太刀川の髪がさ」


櫟課長は静かな声で語る。


「いつも結んでる髪がさ、俺の顔や胸に落ちるのがよかった。おまえが上になってる時」


私は瞬時に赤くなる。
この男は、会社で何を言い出すのだろう。
事実だけど、その件は。
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