俺様上司は、極上の男!?

「頼む！」


裕太がほとんど泣き声で叫んだ。


「俺……好きな女を亡くしたくない！」



……好きな女。


バカだな、こいつ。

やっと気付いたのか。


「良かったじゃん。本当に誰が好きか気づけて。二度と私を口説くんじゃないよ」


「つぐみ、ごめん。本当にごめん」


私はこの瞬間、ようやく真の意味で裕太に振られたのだ。

裕太の心に、私への未練なんかホントはない。
裕太はいつからかずっと、朋子が好きだったんだ。

それが朋子に告白されてからなのか、私にはわからない。
でも、私を捨てて朋子を選んだ理由は、ちゃんとあった。


「これからそっちに行く。あんたは朋子のこと呼び続けて。近所迷惑で通報されてもいいから呼び続けなよ」


「ありがとう！ありがとう、つぐみ！」


朋子の家は西武池袋線だ。
副都心線の直通電車に乗って最短で行っても、徒歩含め1時間ほどかかる。

私はやってきた電車に飛び乗り、課長にメールした。
少し遅れるけれど必ず行くという旨を、必死に文章で訴えた。