俺様上司は、極上の男!?
私らしい。
そんなことは考えても見なかった。
自分が変わることばかり考えていた。

私という人間の一番『らしい』部分。
じゃあ、やっぱりアレしかないか。


意地を張り通すこと。

自分の道を信じて、突っ切ること。


「好きな人がいるんだね」


大将が赤銅色の顔にしわを作って、にっと笑う。


「いつか、連れてきてほしいなぁ」


「連れてこられるように頑張ります!」


私は少しずつ考えをまとめ始めた。

私にできること。
私がすべきこと。

おぼろげながら見えてきた目標。それに向かって全力を尽くしてみよう。

近道ではないかもしれない。
でも、私にできる精一杯を積み重ねて、彼に見せよう。

悲しい望みと復讐心に囚われている櫟了介を、私が解き放つ。
私が彼に希望を見せよう。




< 235 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop