俺様上司は、極上の男!?
「少なくとも、復讐なんて悲しい気持ちで仕事をしてほしくない。あなたの新しいやり甲斐を私が作りたい。そのために、私はこの意地を張り通します」


「太刀川……」


私は櫟課長の胸を両手で押した。
距離をとって、一歩下がる。


「もう少しだけ、時間をください。櫟課長の望むかたちになるかわからないけれど、ひとつ結果をお見せしますから」


私は資料入りの鞄を拾い上げ、手近なデスクに置いた。
それから課長に背を向け、勢いよく第2グループのフロアを飛び出した。

エスカレーターを使うのももどかしく、階段を駆け下りる。
玄関フロアに置き去りにしてあったキャリーケースをつかみ、足早にオフィスを出た。

櫟課長の瞳、声、香り。
狂おしいほど懐かしく、愛しかった。

彼の腕に身を預け、同情でも何でもいいから甘やかしてほしかった。

だけど、それはまだできない。
私にはやるべきことが残っている。

私は愛しい温もりを振り払うように、駅に向かって足を速めた。






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