俺様上司は、極上の男!?
大将は常連の名前を覚えている。
お父さんのような優しい声で、私の前に塩キャベツのお皿を置いた。


「食べずに飲むのは身体によくないよ。今、おにぎりもひとつ握ってあげるからさ」


ありがとうございます、大将。

でも、私、正真正銘のザルってやつでして、今これだけ飲んでもほろ酔いといった程度でございます。

つぶれるまで飲んだのは過去一回だけで、父が亡くなった時。
同じくザルの母と姉と酒屋が一軒傾くくらい飲んだっけ。

あんなに飲むことは、人生もうないと思う。
そう、あそこまで悲しいことなんて当分起こらない。


よし、切り替えよう。
楽しいお酒にしよう。

もう、平気。
元気出すために飲もう。


私はその後、焼酎を2本と、日本酒を一升飲み干した。
よくその量が入るね、なんて言われるけど、こまめにトイレさえ行っとけば私には問題ない酒量。

楽しく飲んで、すっかりいい気分で、居酒屋を出た。
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