俺様上司は、極上の男!?
どのくらい経っただろう。
たいして、時間は経過していなかったかも。

私の頭上から声が降ってきた。

低い声。
のろのろと顔をあげると、駅の灯りを背負って、櫟了介課長がいた。


「飲んでいたのか?」


課長とはろくに話をしたことがない。
まだ転勤2ヶ月だし、仕事について指示や注意を受けたこともほとんどない。

私にとって、地味でつまらなさそうな櫟課長は完全に興味対象外。
空気と同じ扱いだった。


「飲んでました」


「ひとりで?」


私は頷く。
悪いかよ!と卑屈には思わない。

ひとりで飲みに行くのは、私には普通だもん。
特にこんな日には、誰かとなんか過ごしたくない。


「酔ってんのか?」


「酔いはさほどではないですけど」


私は立ち上がり、ヒールの取れた右足のパンプスを見せた。
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