TRIGGER!2
「・・・ほらよ」


 いきなり、横からタバコが差し出された。
 サンキュ、とそれを受け取って、口にくわえる。


「屋上の景色なんて、どの病院でも同じだな」


 彩香の隣に立ち、ジョージは呟いた。


「ご機嫌いかがなんですかねぇ、ジョージさんは」


 ついでに差し出されたライターを受け取りながら、彩香は隣に立つジョージを横目で見た。


「まだ悪い」


 そう答えて、ジョージも自分のタバコに火を点ける。
 あぁそうかよ、と彩香はまた空を見て。


「隼人は?」
「アイツも治療が終わって、今頃飢えたオカマ連中の餌食になってるだろうよ」


 可哀想に、と彩香は呟いて。
 しばらく風に吹かれながら、2人でタバコをふかす。


「お前なぁ」


 半分くらい吸った時、ふとジョージが話し掛けてきた。
 彩香は黙っている。


「みんながお前みたく強いと思うなよ」
「・・・・・・」
「心が弱い人間だっているし、目の前の出来事に耐えられない人間だっているんだ。お前がしたことは、ただの押し付けだ」


 昨夜の事を言っているのか。
 車椅子の少女に、彩香がわざと傷付けるような事を言った時のこと。
 正直、あの少女がどうなろうと構わない、と本気で思っていた。
 負けた奴が負けなのだ。
 それくらい分かっているだろうに、何故、横に立っているこの大男はこんなに不機嫌になっているのか。


「押し付けたつもりはねぇよ。思ったことを言っただけだ」
「だからそれが」
「何が悪い?」


 真っ直ぐに、彩香はジョージを見つめた。
 また何かを言おうとして、ジョージは言葉の代わりに小さくため息を吐く。


「・・・悪かねぇよ」
「じゃあ何でジョージがそんなに怒ってるんだよ。あたしには全然分からねぇよ」


 そう言うと、ジョージは少し間をおいて。
 ジョージらしからぬか弱い声音で言う。
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