TRIGGER!2
「ま、あのオヤジは大丈夫だろ。殺しても死なねぇし」
「そうなんですが、社長は今忙しすぎて身動きが取れません」


 峯口が動けない今、風間は会社の従業員に指示を出し、不意の襲撃に対する万全の対策をさせた。
 本社を始め、マンションにもガードを配置し、念の為、峯口に関わる人間にも警護の者を向かわせたと言う。


「水島先生や雛子さん、それと一応、友香さんにもガードを付けてあります。何かあったらすぐに連絡が来る手筈になっています」
「うっわ~、いつの間にそんなに仕事してんの、風間ちゃん」
「当然だ。それにお前のその言い方、社長にそっくりだな、ジョージ」


 風間にそう言われて、ジョージは面白くなさそうにそっぽを向いた。


「もう1人、いるだろ」


 彩香は言った。


「黒幕にとって邪魔なのは、四階のヤツもそうだろ?」
「そうですね。今までの話を総合して考えると、四階の人が関わっていた、薬を飲んでいる人物が三人とも襲われた」
「違う言い方をすれば、ホクロが関わっていた、薬を飲むのを止めようとした人間はって事だな」


 なるほどな、とジョージも頷いて。


「でもよ、黒幕はなんで四階のヤツと関わっていた人間を殺そうとするんだ? 狙ってるなら、直接本人を捕まえれば済む話だろうが」
「見つけられないんだよ。当たり前だろ、本当の姿は誰にも分からないんだから」


 それじゃ答えになってねぇよ、というジョージに、風間は考えながら口を開く。


「こういう可能性もありますね。四階の人は、薬を飲んでいる人間を知っている。その人間に接触して、薬を止めさせようとしているならーー黒幕にとって、その存在は邪魔でしかないんですが」


 こっちの情報をどこまで知っているか分からない存在を、簡単には殺せない。
 更にその人間は容姿、年齢、性別も全く分からずに。
 黒幕にとって、こんなに怖い存在はない。
 何を言って、どうやって説得してその人間は、みんなに薬を止めさせているのか。
 まるで、透明人間のようなその存在は。
 まさか、組織の内情をーー。


「だから黒幕は、薬を止めると宣言した人間を消そうとした。誰から何を聞いているのか、分からないんですから」
「ま、風間名探偵の推理はいつも信憑性が高いが」


 ジョージは、新しいタバコに火を点けた。


「手っ取り早いのは、あの医者に直接聞くことだな」
「あたしも同感」


 どうもこの2人は、ここら辺ではかなりの確率で意見が一致するらしい。
 だが佐久間は昨夜、スターダストの“ドア”からあっちの世界に逃げ込んでいる。
 足取りを追うのは、難しい。


「もう・・・こんな所に居たんですか?」


 不意に屋上のドアが開いて、山田が姿を現した。


「あぁ、すっかり忘れてたぜ、アイツの事」


 肩をすくめて、ジョージが呟く。
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