君と僕等を、繋ぐ線。










暫くは、後任の方にしぶしぶ自分がやりたかった桑野選手に関するシゴト等々の引継ぎをしながら、自分も芸能部に行って前任の方から引継ぎを受ける日々。







前任の方・・・・・・・・・・・は、同期の菊池だった。







菊池は入社当時、社会部を希望していたが、願い叶わず。 彼もまた、3年で念願の社会部に異動が決まり、意気揚々としていた。







「畑田、桜沢悠斗の取材担当になるんだって??」







引継ぎなんかしてないで、一刻も早く社会部に行きたい気持ちを隠せない様子の菊池が、『コレ』と言いながら、入社したての時に取材したという、自殺したネット小説家の秋の資料をワタシに手渡してきた。








秋は桜沢悠斗と付き合っていたと噂されていた女性。







彼女は、ワタシたちが入社する前日に命を絶った。







『桜沢悠斗の彼女だったかもしれない』というネタはあったが、事実かどうかは分からない、スランプに陥った売れないネット小説家の自殺は、大きな記事にはならない。







だから、当時新人だった菊池は、入社早々にこのディープな割りには小さなシゴトを押し付けられてしまい、お互い自分のやりたいシゴトが出来ないもどかしさを、酒を酌み交わしながら嘆いた日々を思い出す。
< 61 / 137 >

この作品をシェア

pagetop