山桜
少し冷えた部屋
着座してから少しの間、両者は沈黙していた

山南は近藤の胆を試していた

豪胆であれば落ち着き払っていて、そうでなければ何を話すべきか、どうするべきかとあれこれ思慮し、落ち着かないはずである

近藤は山の如しとはこのこと、微動だにせず眼を閉じて山南の話を待っていた
近藤もまた、山南を量っているのである

先に静寂を切ったのは山南だった

『近藤先生、昨今の日本の情勢、どう思われますか?』

近藤は眼を開け、微笑んだ

『山南さん、私は剣しか知らない男です
黒船が来航し、メリケン人が開国を強要している程度しか存じません』

山南は続ける

『ならば、諸外国と戦になれば、近藤先生は参加されますか?』

近藤は表情を変えぬまま即答した

『もちろんです
日本の危機を静観するわけにはいかない
天子様や将軍様への御恩に報いるため、命を懸けて戦います』

山南は大きく頷き、少し前へ進み出た
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