山桜
一瞬だった

山南が右に剣先を動かしたその刹那
軽く剣を払ったと思う間もなく、山南の面に近藤の竹刀が振られた

竹刀が鳴らす高い音が道場に響く

山南は動けなかった

ここまで早い動きは見たことがない
動く瞬間には誰しも身体のどこかしらに微少な動作が生じる

山南にはそれが見えなかった
たとえ見えたとしても対応できなかっただろう

『それまで!』

近藤周助の声が響く

山南は竹刀を下ろした
そして両名は所定の位置に戻り、礼をした
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